なりたい家計をイメージして家計のピンチから脱出しよう!
■ピンチを乗り切るには、現状を知ること
「いまがピンチ」と分かっていても変えられない方には、 FPから見て感じる「ある特徴」があります。それは、「現状を直視しない」ということ。例えて言えば、「自分の後ろに崖があるのに気づきながら、崖に向かって一歩一歩後ずさりしている」という状態です。「あと何メートル行けば崖から落ちてしまう」というのを調べずに「まだ行ける。来月もだいじょうぶじゃないか」と、後ろを見ずにズルズルと後ずさりをしているのです。
具体的には「このまま行くと住宅ローンが払えなくなる」「貯蓄を切り崩しても諸々の返済が間に合わなくなりそう」「リボ払いの毎月返済額が月収と同じぐらいに迫ってきている」というような状態のことです。はじめは軽い気持ちで10~20万円のキャッシングをしただけなのに、気が付くと数年で数百万円に膨れ上がり、「どう考えても払えない」というところまできている人もいらっしゃるでしょう。ところが、「今までなんとかなってきたから、この先もなんとかなるのでは」という気持ちのままで、ズルズル同じ生活を続けてしまっている場合、現状から抜け出すのは難しいです。厳しいですが、ピンチを乗り切るには、「自分がいまどれぐらい危ない状態にいるか」という現状を見つめる勇気が必要なのです。
■なりたい家計のイメージが、プラスに変える力になる
きちんと対策を打てる人というのは、「いま崖まで何メートルの地点にきているか?」と距離感を理解して、「あと○ヶ月(○年)で大変なことになる」という現状を把握しています。把握ができると「このままではけない!」→「脱出しよう!」と気持ちに変化が起きて、対策ができるようになります。
ただし、現実を直視する上で注意していただきたいのは、崖が迫っていることに目を奪われて、恐怖心で崖に吸い寄せられてしまわないこと。気持ちが滅入って後ろ向きになると逆効果です。崖まであと何メートルしかないという危機感が分かったら、次は理想の目標を設定して、「希望の未来」というプラスのほうへ自分を押し出していくのです。「このローンを完済できたら、どんなに心が軽くなるだろう!」「貯金が○○万円ある状態になりたい!」というような「なりたい家計の状況」をしっかりイメージしてください。希望のイメージが固まれば、その希望があなたをゴールへ近づける力になってくれます。
現実の厳しさを知ることは大事ですが、そこばかりを見ていると、だんだんマイナスのほうに引っ張られてしまいます。ですから、“月に1回だけ、崖までの距離を確認したら、残りの29日は設定した理想に向かって努力をしていく”、というバランスが理想的です。そして、節約をしたり、収入を上げる努力をしたりと、思いつく限りの前向きな努力をしていくことが大切です。
■家計を改善したいなら、行動あるのみ!
家計改善のためには、家計の収支をしっかりチェックしてください。手取りでいくら入ってきていて、いまの生活でいくら出ていっているのか?住居費、生活費、教育費、クルマの維持費など、1,000円単位程度でよいので、書き出してみましょう。そして、収入と支出のバランスを考えます。いくら入ってきて、いくら使って、いくら貯蓄ができているのか、もしくは赤字なのか。収支の把握ができると、このままだと何年後にはどうなるか、という現状を見通すことができます。
プロのFPに相談すると、住宅ローンや教育費などの費目別に細かくチェックして、「キャッシュフローで赤字になってしまう時期が○年後に控えている」という予測が出ます。「このままいくと、いつ、どのような危険がありますよ」という未来をお見せするのですね。その上で、覚悟を持って家計を改善していきたいと思って頂くのがFPの役割です。「○○の支出を削りましょう」「△△は見直しましょう」といった具体的に実行できるアクションプランを、一つずつクリアしていくことができれば、改善に向かうことが多いです。
「現状を改善させよう!」という決意があれば、ピンチは脱出できます。「見ないふり」や「あきらめモード」とは決別して、なりたい自分、なりたい家計を目指して、行動を起こしていただければ幸いです。
- 教育費や家計、資産運用などの疑問はFPに相談して解決しよう!