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オルカン一択のNISA投資で大丈夫? ~FPから見たオルカンによる世界分散投資の弱点とは~

2024年から恒久化されたNISA制度がスタートしたこともあり、初めて資産運用をされる方が増えています。FPフローリストには、「これからNISAで運用を始めてみたいのでFPに相談したい」「自分なりに勉強して投資を始めてみたのだけれど、投資信託の選び方や投資の仕方が適切なのか不安」という方がたくさんご相談に来られます。

お客様のお話を伺う中で最近気になるのは「オルカン1本だけに投資をすれば分散投資はバッチリ!」という理解をされておられる方が少なからずいらっしゃることです。全くの間違いであるとは言えないのですが、分散投資について大切ないくつかの視点を加味した上で運用作戦の幅を広げていけると、なお良いと思います。その為、今回は、長期分散投資について理解を深めて頂けるよう、オルカン投資の特徴を整理してみました。
株式会社FPフローリスト代表取締役/CFP®認定者/ファイナンシャル・プランナー 圦本弘美
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オルカンとは

世界株式指数に連動するように資産運用を行うインデックス投資信託の一種です。
オルカンの正式名称はMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」であり、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が算出・公表する世界株式指数です。先進国と新興国の大型株、中型株約2,760銘柄(2024年6月現在)から構成されています。この指数に連動するように銘柄を選択して運用しているインデックス投資信託群(インデックスファンド)を略してオルカンと呼んでいます。ここでは、一般的な呼称に合わせ、上記指標に連動して資産運用を行うインデックスファンド群をオルカンと呼ぶことにします。

オルカンの魅力

オルカン投資の魅力としては以下の2点が挙げられます。

①1本の投資信託で、世界中の大型中型株式に分散投資ができること

オルカンの投資対象は全世界(日本を含む先進国・新興国)であり、実際に世界約50カ国へ分散投資をしています。投資ビギナーでも、経済情報に詳しくなくても、オルカン1本だけで国際分散投資を日々実践できるというのはとても魅力的です。

②投資信託の運用コストが低く、長期投資に適していること

投資信託を運用するために必要な信託報酬というコストがあります。信託報酬は購入時だけかかる「購入時手数料」や売却する時だけ支払う「信託財産留保額」とは異なり、投資信託を保有する間はずっとかかり続けます。ということは同じパフォーマンスが期待できる投資信託であれば、信託報酬は安い方が望ましいと言えます。オルカンはインデックスファンドと言って、指数に忠実に連動することを目指す投資信託のため、信託報酬は低く抑えられています。

オルカンの特徴と注意点

では「オルカンでどこまでの分散投資ができているのか」という観点から、オルカン投資の特徴と注意点を挙げさせていただきます。

①「時価総額加重平均方式の指数」であることは知っておこう!

時価総額加重平均方式」とは、各企業の時価総額(株価×発行済株数)の割合を重みづけして算出するルールになっている投資信託です。時価総額加重平均方式を採用しているのはオルカン以外にもS&P500、TOPIX等があります。

この方式の注意点は、時価総額の大きい一部の銘柄が、指数の変動に大きな影響を与えてしまうということです。また、積立投資をしていくと、「今」高く評価され、割高になっている可能性もある業種や銘柄へ集中投資することになりやすいと言う点です。

②産業・業種にバランスよく投資できている?~組み入れ銘柄の実態~

こちらは、オルカンの代表的商品であるeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の上位組み入れ10銘柄です。


eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)月次レポートをもとにFPフローリストが作成(2024年6月末現在)

なんと、GAFAMとNVIDIAの上位6銘柄でオルカン全体の投資比率の約2割を占めています。つまりオルカンに投資すると、その資金の約2割は6社の米国企業の株に投資されている、という状態になっています。

③成長期待国への投資はできている?~国別構成比率の実態~

次に、オルカンの国別投資比率を見てみましょう。以下は、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の国別配分比率です。

eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)月次レポートをもとにFPフローリストが作成(2024年6月末現在)

ご覧の通り、アメリカ一国の比率が約6割となっています。オルカン投資で世界中にまんべんなく投資をしているとイメージされている方もいらっしゃるかもしれませんが、実際の構成比率では米国が約6割以上、欧米日本を含む先進国に約8割以上投資しています。

国別の投資比率について一例を挙げたいと思います。

今年、FPフローリストのはじめての資産運用相談に来られたお客様で、「インドの株式にも投資をしてみたい」という方がいらっしゃいました。理由を伺うと、「インドは人口が増えて経済成長も目覚ましいと聞いているので、今後に期待して投資をしてみたい」とのことでした。

「インド株投資がどこまでお勧めか?」というのは別の論点になるためこのコラムでは触れませんが、そのお客様はオルカンでインド投資もできていると思っておられました。そこで上記の国別構成比率をご紹介したところ、イメージよりインドへの投資比率がかなり少ないことに驚かれていました。直近のオルカンのインドへの投資シェアは2%未満となっていますので、オルカンを100万円購入してもインド株投資は2万円に満たないということになります。結局このお客様は、オルカンと併せてインド株式ファンドへの投資も検討されることになりました。

オルカンの弱点をカバーする投資戦略とは

オルカンは全世界の大型中型株中心に分散投資を実行できる優れた商品ですが、オルカンを始めとするインデックスファンド投資以外にも、成長性の高い国への投資・中小型株投資・高配当銘柄投資など、インデックスを超えるリターンを目指したり、下落リスク軽減を目指したりする投資手法で実績を上げている投資信託がたくさんあります。

また、そもそもの話になりますが、分散投資とは一番儲けるための手法ではありません。異なる仕組みで利益を上げる複数の投資を組合せて、どのような経済変動が起きても、資産運用全体でのダメージを軽減し、中長期での安定的な成果を目指していく作戦です。その観点から言うと、資産運用の投資クラスが株式のみというのは、リスクを取りすぎない分散投資を目指したい人には合っていない可能性が高いのです。株式投資は資産クラス的にはハイリスク・ハイリターン投資に分類されます。ローリスク・ローリターンやミドルリスク・ミドルリターンの金融商品も組み合わせてポートフォリオを構築し、資産全体の稼ぐ力と守る力を高めていく事を目指すのが長期分散投資の原則です。

株式とは異なる仕組みの運用商品としては、債券やコモディティー、現物資産投資等が挙げられます。やみくもにいろいろな商品に手を出せばよいという訳ではなく、ライフプランに合わせて取れるリスクを勘案しながら資産クラス(投資商品のカテゴリー)の配分を考えていく必要があり、これを資産運用におけるポートフォリオ構築と言います。

FPとして推奨するのは、ライフプランとリスク許容度の観点から自分に合ったポートフォリオを考え、実行のための具体的商品としてオルカン含む個別商品を検討する、という順番です。

まとめ:一ランク上の分散投資を実行するためには

NISAという運用益非課税制度を活用し、毎月気軽な金額から資産運用を体験する、という段階では、オルカン1本でスタートもよいと思いますが、段々と資産運用に慣れ、また投資資金が大きくなってきたら、更なる本格的な分散投資の世界を知っていく事をお勧めします。

FPフローリストでは「はじめての資産運用相談」というFP相談メニューがあります。その名の通り、はじめての資産運用についてFPから基本的なレクチャーを受けられ、自分に合った投資スタイルのアドバイスや、資産運用実行までのサポートが受けられます。自分なりに勉強して実践した運用が適切なのかをプロに確認することもできます。デフレからインフレに変わりつつある今、時代に合わせて貯蓄や運用のやり方を見直してみたい、と思われる方のお力になれれば幸いです。


株式会社FPフローリスト 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第717号
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