資産運用用語集
あ行
- ROI(投資収益率 Return on Investmentの略)
特定の投資対象に対して投下した資本の収益率を表す指標。事業、商品ごとの収益力や設備投資の効果を計る際や、不動産投資の収益指標などとして使用される。
ROEが「会社」の資本効率を評価する際に株主資本に対するリターンを示すのに対し、ROIは「事業」等の投資効果を評価する際に特定の事業等に対して投下された資本に対するリターンを示したものである。
- ROA(総資産利益率 Return on Assetsの略)
事業に投下された資本全体に対する、純利益の割合を表す指標。ROAは事業の効率性と収益性を同時に示す。
- ROE (株主資本利益率 Return on Equityの略)
株主が投資した金額に対する、純利益の割合を表す。株主が投資した金額(株主資本)を、いかに効率的に利用して収益を上げているかを見る指標。
- アセット・アロケーション
投資資金を複数の異なった資産(アセット)に配分(アロケーション)して運用すること。
各資産のリスクとリターン、投資環境やマーケットの動向等だけでなく、各資産毎の相関関係、リスク許容度、運用目的や資産状況など、様々なことを考慮して、各種資産をどのような割合で投資すべきかを決定する。主な運用対象としては、国内株式や海外株式、国内債券、外国債券、コモディティ、不動産、仮想通貨、現金等価資産(現預金)などがある。
- アクティブファンド
インデックスファンドより、高い利回りを目指して、積極的に運用している投資信託。⇔インデックスファンド
- アルファ値(α値)とベータ値(β値)
ベータ値とは、指数(日経平均やTOPIX)の変化に対して対象銘柄がどれだけ大きく動いたかを数値化したもので、例えば、ベータ値が2の銘柄は、指数が1%上昇すると2%上昇することを意味する。逆に1%下落すると連動して2%下がることになる。
アルファ値とは、ベータ値(すなわち指数変動との連動)だけでは説明できない「超過収益」のことを示す。例えば、日経平均が1%上昇したときに、ベータ値が0.9のファンドのパフォーマンスが1.5%の場合、0.9%の分はベータ値で説明できるが、0.6%の分は説明できない。この、0.6%分がアルファ値である。アルファ値が高いということは、ベンチマークよりも、それだけリターンが大きいことを意味する。
例えば、インデックス・ファンドは、指数のパフォーマンスそのものを目指すので、ファンドのベータ値は1.0、アルファ値は0となる。ベア型(インバース)のインデックス・ファンドは逆相関なので、ベータ値は-1.0、アルファ値は0となる。一方、ヘッジファンドは、マーケットリスクをヘッジするのでベータ値はゼロとなり、アルファ値で稼ぐことを目指して運用しているといえる。
- アンダーパー発行
債券などで、価格が額面を下回る状態をいう。満期まで保有すれば、額面で戻ってくるため、額面と購入価格との差額が償還差益となる。
以下のようなケースでアンダーパーとなる場合がある。
・市場の金利水準が上昇し、保有する債券の利率の魅力が薄れる場合。買い手は実勢の金利水準並みの利回り(利率+償還差益)が実現できる価格を期待することから、額面では売却できずアンダーパーでの取引となることがある。
・債券の発行体(債券を発行した国や企業等)の財務状況が悪化すると、利払いが延滞されたり、額面通りに償還されないリスクを投資家が意識するようになる。そうすると額面では売却できずアンダーパーとなってしまうことがある。
- ESG投資
環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮している企業を重視・選別して行う投資のこと。2006年に国際連合が投資家にESG課題への観点を反映した投資行動を促す「責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)」を公表したことをきっかけに、欧米の機関投資家を中心に企業の投資価値を測る新しい評価項目として注目されるようになった。従来の社会的責任投資(SRI)が環境保護などに優れた企業を評価する発想だったのに対し、ESG投資は環境、社会、企業統治を重視することが結局は企業の持続的成長や中長期的収益につながり、財務諸表などからは見えにくいリスクを排除できるとの発想に基づいている。
特に2015年12月にパリで開催されたCOP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)において、196か国によって採決された「パリ協定」の中で、2020年以降の温室効果ガス削減に関する法的枠組みが取り決められたことにより、企業に対する環境保護へ貢献が強く求められるようになったこともESG投資の普及につながっている。
日本でも、世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2015年にPRIに署名して以降、ESG 投資に対する認知度や関心が高まっている。
- イーサリアム
正式名称はイーサリアムプロジェクトで、ether(イーサー:ETH)という仮想通貨を提供するアプリケーションなどのプラットフォームの総称のことをいう。ブロックチェーン上の取引履歴を記した台帳上に契約情報を併せて管理する「スマートコントラクト」と呼ばれる概念を取り入れ、契約情報をプログラミングよって付与できるなど、ビットコインと較べた優位性を持つ。
2013年にプロジェクトが発足し、2015年8月にリリースされた。リリース時のレートは1ETH当たり約120円だった。2017年2月には、マイクロソフトやJPモルガンなどにより企業向けのイーサリアムベースのオープンソースアーキテクチャの開発、普及、サポートを目的としたEnterprise Ethereum Allianceが設立され、イーサリアムプラットフォームの利用の拡大、標準化が期待されている。
今後の課題としては、2017年6月21日に、たった1人による大量成行売り注文の執行がトリガーとなって、逆指値の売り注文と信用口座のロスカットの自動決済が次々に連鎖執行され、1分間で90%超もレートが下落するというフラッシュクラッシュが発生したことなどから、安全装置等の整備が望まれている。
- ETF
投資対象の指数に連動し、株式と同じように上場しているファンドのこと。一般に信託報酬が安いのが特徴。
- イールドカーブ
債券の利回りと償還までの残存期間の関係を表わす曲線。利回り曲線とも呼ぶ。横軸に償還までの期間(残存年数)、縦軸に年限ごとの最終利回りをとり、プロットした点を結んでできる曲線のこと。通常は残存年限が長くなるほど利回りが高くなり、イールドカーブは右上がりとなる。
- 移動平均線
過去の一定期間の終値の平均をグラフで表したもの。異なる期間で計算された2本の移動平均線がクロスするタイミングは、売り買いのトレンド転換の目安として利用されることがある。
- インカムゲイン
資産を保有することで、継続的安定的に得られる利子・利息・利益などのこと。株式配当、投資信託の分配金、不動産の家賃収入など。⇔キャピタルゲイン
- インデックスファンド
投資対象の指数に連動することを目指すファンド。日本株式の場合は、日経平均株価・TOPIX・JPX日経400等の指数と、ほぼ同じ値動きをするように設定されている。⇔アクティブファンド
- インフレーション
物の値段が継続的に上昇し、貨幣の価値が相対的に下がっていくこと。
- SRIファンド(Socially Responsible Investment Fundの略)
運用上の投資基準として、財務的側面だけでなく、企業として社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)を果たしているかという社会的・倫理的側面も考慮して、長期的、持続的に成長する会社を投資対象に選ぶ投資信託のことをいう。SRIとはSocially Responsible Investmentの略で、社会的責任投資のこと。
SRIは、1920年代の米国で、一部のキリスト教系宗派で資金の運用にあたりアルコール、タバコ、ギャンブルなどに関連する企業を投資先から除外することから始まったとされている。投資先企業の社会的責任を問う形でSRIを実践する例では、1969年のベトナム反戦運動時に、ダウ・ケミカル社に対して、ナパーム弾の製造中止を求める株主提案が行われたことなどがあげられる。
- S&P500
指数算出企業であるS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出している、米国の代表的な上場企業500銘柄で構成される株価指数。
- SQ(特別清算指数)
日経225先物やTOPIX先物などの株価指数先物取引やオプション取引などを、決済最終日までに反対売買がなされたかった場合の清算指数として使用される指数のこと。
- FX取引
為替証拠金取引。異なる2つの通貨を転換する取引。少額の証拠金で多額の取引が可能。
- FRB(連邦準備理事会:The Federal Reserve Boardの略)
アメリカの中央銀行制度(FRS:連邦準備制度)の最高意思決定機関のことで、中央銀行に相当する。7名の理事から構成される。実際の中央銀行業務は、FRBの下に位置する12の地区連邦準備銀行(Federal Reserve Banks)が行っている。
FRBの主な業務は、公開市場操作を含む金融政策の決定のほか、連邦準備銀行の統括・監督、市中銀行に対する支払準備率の設定、連邦準備銀行が設定する割引率(公定歩合)の審査・決定などとなっている。金融政策の手段である公開市場操作を決定するのはFOMC(連邦公開市場委員会)で、FRBの7名の理事と、5名の地区連銀総裁で構成されており、フェデラル・ファンド(Federal Funds)レート(アメリカにおける政策金利)の金利誘導目標を決定している。
- MSCIコクサイ・インデックス
MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)社が算出、公表している株価指数で、日本を除く世界の主要22カ国の約1,300の大型株と中型株で構成されている。日本国内で販売されている外国株式に投資している投資信託のベンチマークとして使われるケースが多い。MSCI社によると大型株は各市場の時価総額上位70%に入る銘柄、中型株は時価総額中位15%の銘柄と規定している。
尚、MSCI社では、MSCIワールド・インデックスと呼ばれる日本を含む世界の主要23カ国の株式で計算されたインデックスも提供している。
- オーバーパー発行
債券などで、価格が額面を上回る状態をいう。債券は満期まで保有すれば、額面で戻ってくるが、オーバーパーで購入した場合、購入価格と額面との差額が償還差損となる。
しかし債券の保有者には利子が支払われるため、利子で償還差損を埋め合わせても、なお収益が期待できると判断した場合に、オーバーパーで債券を購入するメリットがある。
- オプション取引
証券や通貨または商品などの特定の資産(原資産)を将来の決められた期日までに、そのときの市場価格に関係なくあらかじめ決められた価格(権利行使価格)で買う権利、または売る権利を売買する取引のこと。
原資産を買う権利についてのオプションをコールオプション、売る権利についてのオプションをプットオプションと呼び、それぞれの権利に対してつけられる価格のことをプレミアムという。
日本では「日経225オプション」というオプション商品がある。
- オプション・プレミアム
特定の資産(原資産)を予め決められた価格(権利行使価格)で買う権利(コールオプション)または売る権利(プットオプション)に対してつけられる価値。オプション価格とも言う。オプションの買い手は権利行使価格で原資産を取引する権利を得る代わりにオプション・プレミアムを支払い、オプションの売り手は、権利行使価格で原資産を取引する義務を負う代わりにオプション・プレミアムを獲得する。
オプション・プレミアムは以下の要素によって変動する。
(1)満期までの期間(通常期間が長いほどプレミアムは高くなる)
(2)資産の価格変動の大きさ(通常変動が大きいほどプレミアムは高くなる)
(3)市場での時価と権利行使価格との差額(通常差額がプラスの場合、差額が大きいほどプレミアムは高くなる)