介護リフォームが必要になったときのために覚えておきたいこと
まず必要なのは要介護認定
介護保険の給付ですから、要介護認定を受けていることが要件になります。また、住んでいる家の改修が給付要件になりますので、入院中であれば退院後に申請します。まずは、地域包括支援センターや役所の介護保険担当部署などに相談し、介護認定を受けるところからスタートしましょう。
20万円までの介護リフォーム代は1~2割が自己負担
通常、ホームヘルパーなどが提供する人的介護サービスは、要介護状態の区分(要支援1~要介護5)によって利用限度額が異なりますが、住宅改修費の支給限度額は一律同じです。住宅改修費は要介護状態を問わず、上限は20万円です。そのうち本人の自己負担は1~2割になります。20万円を超えた費用は全額自己負担になります。
たとえば、25万円の介護リフォームをした場合、20万円の部分は1~2割で利用でき、5万円は全額自己負担となります。自己負担が1割なら18万円が、自己負担が2割なら16万円が介護保険から償還払い(所定の手続きを行った後に還付される)されます。
生涯に一度の申請が基本ですが、要介護状態の区分が重くなった時(3段階上昇時)や転居した時は、再度申請できます。
ご夫婦お一人ずつが同時に申請される場合は、それぞれが20万円の枠を利用できます。ですが、同じ個所の改修を重複して申請することはできません。トイレと浴室といったように2か所の改修での申請となります。
自己負担が2割になる人とは?
介護保険法の改正で平成27年8月より、収入によっては自己負担が2割に引き上げられました。目安は合計所得が年160万円以上かどうか。収入が公的年金のみであれば、単身世帯で280万円以上、2人以上の世帯で346万円以上の世帯が2割負担になります。年金以外に収入がある場合は役所の介護保険担当部署に聞けば、教えてもらえますよ。
対象になる介護リフォームとは?
介護リフォームであれば、すべて公的介護保険が使えるかといえば、そうではありません。次にあげる改修工事が対象になります。工事を依頼する前に必ず確認しておきましょう。
(1)手すりの取り付け(風呂・トイレ・浴室・玄関)
(2)段差の解消
(3)滑り防止や移動を円滑にするための床または通路面の材料の変
更
(4)引き戸などへの扉の取り替え
(5)洋式便器などへの便器の取り替え
(6)その他(1)~(5)の改修に付随して必要となる改修
リフォーム前にケアマネジャーへ相談を!
介護保険を使ってリフォームをする場合、注意すべき点は手続きです。工事を行った後の申請は原則不可となります。手続きには担当のケアマネジャー(担当がいない場合は役所の介護保険担当者)の「住宅改修が必要な理由書」が必要になります。業者から見積もりをとる前に、必ずケアマネジャーに相談しましょう。
手続きの手順は次の通りです。
①介護認定を受ける
②住宅改修について、ケアマネジャーまたは役所の介護保険担当者
に相談
③住宅改修の申請書類を保険者(介護保険)に提出。
〈提出書類〉
・支給申請書
・住宅改修が必要な理由書
・工事費見積もり書
・住宅改修の完成予定の状態がわかるもの(写真や簡単な図を用いた物)
④施工・工事完了
工事が完了したら、工事費を支払い、領収書をもらいます。
⑤住宅改修費の支給申請・決定
工事終了後必要書類を保険者に提出。『正式な支給申請』が行われます。償還払いが一般的ですが、受領委任払いもあります。
ただし、受託委任払いは提携業者が決まっています。利用したい場合は事前に確認しておきましょう。
〈提出書類〉
・住宅改修の領収書
・工事費内訳
・住宅完成後の状態を確認できる書類(浴室・廊下・便所など箇所ごとの完成前後それぞれの写真、原則として撮影日がわかるもの)
・住宅所有者の承諾書(住宅改修を行った家の所有者と介護保険の利用者が異なる場合)
介護保険を利用して住宅改修を行い、安全で快適に家で過ごすことができるようになれば、精神的にも金銭的にも良いですよね。公的介護保険の住宅改修は、事前申請なしに工事をしてしまうと給付はおりません。どんな事でも確認する余裕を持ちたいものですね。ただ、急を要する場合など、申請は後でも良い場合もありますので、まずはケアマネジャーさんに相談してみてください。
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