相続対策にもなる「不動産小口化商品」
そこで今回は、相続対策でも使える「不動産小口化商品」のポイントについて、現物不動産投資との違いや仕組み、メリット、デメリットを分かりやすく解説します。
「不動産小口化商品」の仕組み
不動産を購入し、賃貸事業をし、出口戦略を考えて最適のタイミングで売却するのが、いわゆる現物不動産投資です。
通常は単独で不動産を購入して実行しますが、不動産を小口化し複数の人たちで所有する形態にした商品です。知り合いでもない第三者同士が、同じ投資用不動産の持ち分を持ち合って、購入するといったイメージです。そして購入した不動産は賃貸に回され、賃料収入が得られる、それを持ち分に応じて受け取る、受け取った収入は確定申告が必要な不動産所得となる、という仕組みです。
メリットとデメリットは?
メリットは数百万円程度の金額で現物不動産に投資できることです。また、後ほど説明するように、相続対策としての効果を発揮することがあります。
一方デメリットは、一般に持ち分の売買は現物不動産丸ごとよりは難しいことです。持ち分を自由に売買することは可能なのですが、購入希望者がいないと売却できません。実需用ではないため、金融商品としてでしか売買できないことです。また、約10年程度で償還されるため、その時点で相続対策効果がなくってしまいます。
相続対策になる仕組みとは
現金を多く持っている方は、不動産にそれを置き換えると、一般に相続財産の評価を下げることができます。不動産の購入価格に対し、相続税の対象となる路線価は約8割に下がります。
更に、建物については約7割になることもあります。都心のマンションの場合、持ち分というかたちで小さくなって土地の評価がもっと落ちることもあります。そのため、多額の現金を持っている方は不動産に変えるというのが相続対策の王道と言われています。
小口化商品も同様の仕組みで相続財産評価を下げることができますが、更に評価減を見込める場合があります。理由は、小口化している商品は、個人では買えない様な、都内や大都市圏の中心部の物件であることが多いためです。
都心三区や都心五区、つまり港区、千代田区、中央区、渋谷区、新宿区の中心部の商業ビルやマンションが対象になっている為、時価は高いが路線価の評価は低いです。評価との乖離が大きいものを、さらに小口に分散して持つことになりますから、小口化商品の評価額は現金に対して8分の1程度になるというような圧縮、評価の圧縮効果が出てくるものもあります。そのため、一回発売すると、あっという間に売り切れてしまうものも増えてきています。
注意点としては、購入することが相続対策になるのは、「任意組合方式」というタイプの商品であること、現物と同じで物件の見極めは必要であること、また、償還されると資産圧縮効果はなくなってしまうことなどです。
相続対策の一手段としては有効ですが、他の金融商品や投資商品に比べてアドバンテージがあるのかを検証したうえで購入を検討されることをお勧めします。
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(2021年11月28日時点の情報をもとに作成)
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