住宅購入のときにチェックしておきたい2つのシミュレーション
住宅購入は投資と同じ
住宅購入を投資と心得るのはなぜでしょう? 投資とは自分のお金を投じ、そこから利益を得る行為のことです。さらに利益は絶対に得られるわけではなく、リスクもあります。では住宅はどうでしょう?「利益=自分が住める」とすれば、リスクとは何でしょうか? それは引っ越しをしなければならない状況になったり、返済ができなくなったりすることです。そのようなリスクは誰にでもあり、必ず考慮しなければいけません。よって、リスクに直面したときに後悔しないための物件探しが重要となります。売買がしやすい人気の立地や賃貸に出しやすい物件などです。2033年には3軒に1軒が空き家になるといわれており、それまでには16年しかないのです。もし、これから30年のローンを組むならば、ますますリスクに負けない物件探しが必要です。間取りやデザインが気に入っただけで購入を決めるのは少々危険かもしれません。
シミュレーション1:「家賃200倍の法則」で物件をチェック
「物件の価格が毎月の家賃の200倍を超えると資産価値が低い」という指標があります。なぜ200倍なのか? 一般的に不動産を貸して利益を出すには5~6%の利回りが必要です。利回り6%を生むならば、年間家賃÷物件価格=0.06にならなければいけません。10万円の家賃をとれる物件ならば200倍である2,000万円で購入すれば、年間家賃120万円÷2,000万円=0.06となり賃貸に出しても利益を確保できることになるわけです。それでは、実際に筆者が購入を見送った物件で見てみましょう。現在家賃11万円の賃貸マンションに住んでいますが、近くで2,980万円の中古マンションが売り出されました。毎月11万円も払っているから「いっそ購入してしまおうか…」と考えましたが、調べてみると同じ建物内の別の部屋が賃貸に出されているのを発見しました。見てみると家賃が12万円です。12万円の200倍は2,400万円。利回りを計算してみると4.8%でした。さらに物件が駅から15分は歩く立地にあり、将来も12万円で借り手がすぐにつくとは思えませんでした。2,980万円が割高にしか感じられず、購入を見送りました。
この法則を使うと簡単に資産価値を意識したシミュレーションが可能です。ですが、家賃200倍の物件は実際なかなか見つかりません。試しに筆者の最寄り駅で徒歩7分以内・3LDKで検索をしたところ48件の検索結果がでましたが、家賃200倍の法則に該当した物件は1件だけでした。1件あっただけでも奇跡かもしれません。それくらい運命の物件に出会うのは難しいものです。
シミュレーション2:毎月の支払い額と家賃相場を比較する
先ほどの2,980万円の物件で計算してみましょう。
筆者は毎月11万円の家賃を支払っており、返済額だけを見れば毎月の負担が減ります。広告でもよく毎月の返済額だけがクローズアップされていますが、不動産を所有するということは他にも支払わなければならないコストがあります。コストも合算してみると決して毎月の負担が減るわけではありません。そしてここからが重要です。毎月の支払い額と比べるのは今の家賃ではなく、周辺の家賃相場と比べます。この物件では同じ建物内に賃貸物件が出ていて12万円でした。さらにすぐ近くの同等の広さの賃貸マンションに11万円で自分が住んでいます。毎月136,924円はやはり割高だということがわかります。
いかかでしたか?どちらの方法もとても簡単なので是非とも気に入った物件でシミュレーションをしてみてください。ただし一つ注意があります。それは新築物件には使えないということです。新築物件は一般的に家賃の300倍程度で販売されています。新築なのですから当然割高になってしまいます。新築物件が割高であることを理解しましょう。また、リスクを軽減するためには頭金を多め(最低でも物件価格の2割程度)に入れることが大切です。担保価値がローンの残債よりも多く、さらに毎月の支払額が周辺の家賃相場に見合っていればひとまず安心です。
住宅購入は一生に一度あるかないかの大きな買い物です。後悔なんてしたくありませんよね。運命の物件と出会えるよう共にがんばりましょう!
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