住宅ローンを検討中なら知っておきたいフラット35の新団信制度
「団信」の基礎知識
『団信(だんしん)』とは何のことかご存知ですか?
これは『団体信用生命保険』のことで、略して「団信」と呼んでいます。団体信用生命保険とは簡単にいうと、借りた人に万が一のことがあった場合にそれ以降のローンの返済がいらなくなるという制度です。
住宅ローンを組むときに「金利が何パーセントなのか」という点は、非常に大切なポイントです。というのも、銀行で組む住宅ローンの金利には、団信の保険料が上乗せされているからです。ですので、銀行で住宅ローンを組む場合は、団信の保険料の金額はあまり意識しなくてもよいでしょう。
また、団信の加入手続きは、住宅ローンの借り入れの手続き時にカンタンな告知書を記入するだけで完了します。(もちろん審査はあります。)
ところが、旧フラット35※の場合、金利には団信の保険料は含まれず、別途、保険料を支払う必要がありました。(※平成29年9月30日申し込み分まで)具体的な金額でいうと、たとえば3,000万円を35年ローンで借り入れた場合、1年目の保険料はだいたい11万円弱です。ですので、住宅ローンをどの金融機関で借り入れるか、また、何年ローンにするか、などを検討する際金利をみるときは、フラット35は「団信の保険料が含まれていない」ことに注意が必要でした。
新しくなったフラット35の団信制度
このフラット35の仕組みが平成29年10月に変更されました。まず、フラット35も団信の保険料が金利に含まれることになりました。
旧制度では年に1度、保険料を別払いする必要がありましたが、今後は金利に含まれるため、別払いは不要となります。「別払いが不要」になるだけですので、実質の負担額が変わるわけではありません。とはいえ、保険料の支払い手続きは不要となりますし、支払い忘れによって保障が受けられなくなることは避けられます。
フラット35の団信は、健康上の理由などで加入できなかったとしても、ローンの契約自体はできることもポイントです。(この場合の借入金利は新団信付きフラット35の「借入金利―(マイナス)0.2%」になります。)しかし、注意点もあります。団信の保障は、80歳で終了しますが、保障が終了しても、借入金利は変更されません。
これに合わせて、保障内容も変わりました。
保障というのは、「該当したら、以降のローン債務が全額弁済される」場合のことです。
旧団信との違いを、一覧にしてみます。
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旧団信 |
新団信 |
① 保障範囲 |
高度障害、死亡 |
身体障害保障、死亡 |
② 三大疾病付団信の場合の保障範囲 |
三大疾病、高度障害、死亡 |
介護保障、三大疾病、身体障害保障、死亡 |
①も②も、新旧ともに「死亡」は分かりやすいのですが、まず「高度障害」が「身体障害」に変更された点が分かりにくいですね。これは、今までは実際に「障害」状態になったときの判定基準が不明瞭であったため、不満の声があったことから、厚労省で出している身体障害者福祉法の認定基準に一致させるための保障範囲の変更です。
新団信の「身体障害」に該当するのは、『身体障害者福祉法に定める1級または2級の障害に該当したとき』です。
具体的な例は、厚労省のホームページなどを見ると確認できます。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000172197.pdf
また、②の三大疾病付団信の「介護保障」ですが、これも介護保険制度に定める要介護2から要介護5に該当した場合が該当します。
要介護認定についても、厚労省のホームページなどで確認することができます。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/index.html
具体的には、食事・入浴・排泄・衣服の着脱に介助が必要な状態や、松葉杖や手すりで支えても一人で歩行できない状態(車いす)などが該当します。
ちなみに②の「三大疾病付」の「三大疾病」とは、がん、急性心筋梗塞、脳卒中のことです。
http://www.flat35.com/kaitei/danshin.html
以上、フラット35の新しい団信のポイントをまとめてみました。
新しい団信について、さらに詳しく内容が知りたい方は、住宅金融支援機構のホームページをご覧ください。
http://www.flat35.com/topics/topics_20170804.html
フラット35に限らず、住宅ローンの総支払額をシミュレーションするときは、ぜひ団信の保険料や保障内容を意識してみてください。月々の返済額の小さな違いが、長期間では家計に大きく影響するかもしれません。
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