高額な医療費負担を軽くする方法とは?
そんなとき利用できるのが「高額療養費制度」。これは、1ヶ月の医療費の自己負担額が一定額を超えると、超えた分が戻ってくる制度です。この制度、2015年1月から一部改正となる予定です。
高額な医療費の自己負担が厳しいときにありがたい「高額療養費制度」。けれども、協会けんぽが2013年に実施した「医療と健康保険に関する意識等調査」によると、4割近い方がこの制度の内容をご存知ありませんでした。
そこで今回は、「高額療養費制度」の上手な利用方法と、2015年1月に予定されている制度の一部改正についてお伝えします。
医療費が軽減されるうれしい制度
「高額療養費制度」を利用すると、医療費はどれくらい軽減されるのでしょうか。70歳未満の一般所得(年収約770万円未満で住民税課税者)の場合ですと、以下のようになります。
医療費が全部で100万円かかった場合、通常の自己負担は3割の30万円です。しかし、高額療養費制度を使うと87,430円となり、212,570円も戻ってくるのです。
2015年1月からの改正ポイント
年収が約370万円以下の住民税課税者は負担が減り、年収が約770万円以上の方は負担が増すことになります。
高額療養費制度の利用、ここに注意
高額療養費制度を利用する際は、次の点に注意しましょう。
- 自動的には支給されないため、加入している医療保険(協会けんぽ等)への申請が必要です。
- 申請から支給までに約3ヶ月かかります。
- 算定期間の1ヶ月というのは暦の上のことで、月をまたがっての入院については、月ごとの計算が必要です。
必見!窓口での支払負担を軽くする方法
通常ですと、医療機関の窓口で自己負担割合である3割分の支払いをしてから、高額療養費の支給申請を行います。しかし、入院や手術などでは窓口での支払いが数十万円に上ることも少なくありません。そのような高額の費用を準備することも、また、高額療養費が支給されるまでに約3ヶ月かかることも、大きな負担です。
そこで、加入している医療保険(協会けんぽ等)で、あらかじめ「限度額認定証」を発行してもらいましょう。これを医療機関へ提出しておくと、窓口での支払が自己負担限度額までで済みます。平成24年4月からは「限定額認定証」が外来でも利用できますので、ぜひ利用してくださいね。
さらなる負担軽減制度も
過去1年間に3回、高額療養費の支給を受けたことがある場合は、4回目からの自己負担額が図表2の「4回目以降」の金額に軽減されます。
自己負担限度額に届かないときはどうしよう!?
持病のため毎月通院されている方でも、自己負担限度額に届かないときがあるのではないでしょうか。毎月診療が必要でも、症状が落ち着いているときなどは、お薬の処方が2~3ヶ月に1度で済む場合もあります。その場合は、お薬の処方をまとめることで、自己負担限度額を超えて高額療養費の支給対象となる可能性があります。4回目以降は限度額が低くなるので、さらに負担は軽減されます。
また、同じ月に異なる医療機関を受診したときや、同一世帯で複数人の受診があるときは、保険適用分の支払額が医療機関別、診療科別、入院・外来別でそれぞれ21,000円以上であれば合算できます。この場合の同一世帯とは、加入している公的医療保険の被保険者・被扶養者に限られます。
高額療養費や限度額認定証などの制度を利用すること、また、入通院の際は月をまたがないようにしたり、お薬の処方をまとめたりといった医療機関のかかり方を工夫することで、同じ治療内容でも医療費の負担を減らすことが可能です。
あなたも医療費軽減の制度を工夫しながら活用して、医療費の負担を軽くしましょう。
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