日銀政策金利引き上げによる家計への影響
0.5%と言う金利水準は約17年ぶりです。
金利上昇はどんなことに影響するのか、また今後どこまで金利が上がっていく可能性があるのか?
政策金利上昇による家計への影響を確認していきましょう。
金利引き上げ家計へのメリット
メリットとしては、預金の金利を引き上げる銀行が増えることです。
都銀3行(三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行)はいずれも、2025年3月に、普通預金の金利を現在の0.1%から0.2へ引き上げます。
その他の金融商品にも嬉しい影響があります。国債の金利や生命保険各社の予定利率も上昇しつつあります。
金利引き上げ家計へのデメリット
一方デメリットの一番手は、住宅ローン金利が上昇していく事です。
既に借入をしている住宅ローンに関しては、通常4月と10月に基準金利の見直しを行うことが多く、また金利が上昇した場合の適用開始月は3ヶ月後になる銀行が一般的です(4月に金利見直しの場合、適用開始は7月)。
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行、りそな銀行の大手5行は、そろって住宅ローンの変動金利の目安となる短期プライムレートを0.25%引き上げると発表しました。この引き上げ率に基づいて金利負担の変化の例を考えます。
例)借入5,000万円、35年返済で金利上昇による返済額の変化
金利0.5%→月返済額129,792円
金利0.75%→月返済額135,392円
このケースでは、月々返済額は5,600円(年間67,200円)UPします。
変動金利型住宅ローンを借りている人は「5年ルール」に注意!
長らく低金利が続いていた中、変動金利で住宅ローンを組まれている方がほとんどと言ってもよい状況になっています。変動金利型住宅ローンは、市場金利の変動によって、住宅ローン金利が変動する分、固定金利型よりは同時期であれば金利が低くなっています。
変動金利で住宅ローンを借りている方の一番の注意点としては「金利負担が上昇していく事に気づかない」ことがある、と言うことです。何故気づかないことがあるのかと言いますと、変動金利の住宅ローンには「5年ルール」という仕組みがあるためです。返済額が急に増えて生活設計が苦しくならないように、金利が変動しても5年間は返済額が変わらない銀行が多いのです。しかし、金利が上がれば、見た目の返済額は同じでも利払いの負担は増えており、将来の返済額は上がっていきます。ニュースに敏感になり、市場金利と住宅ローン金利の動向をチェックしておかないと、5年後に突然返済額が増えて慌ててしまう、と言うことになりかねません。
今後の政策金利の動向は
日本の政策金利は今後どうなるのでしょうか。
日銀は今後も政策金利の利上げ継続を目指しています。1月24日に決定した0.5%の政策金利を、2025年中には更に0.25~0.5%利上げをして、0.75~1%程度にすることを目指していると言われています。理由は、日本経済が30年以上も苦しんだデフレから脱却の兆しを見せている昨今、程よいインフレと経済成長の継続、為替の安定等を実現するために、政策金利を徐々に正常化していく事が必要だと考えているためです。ただし、性急な利上げは景気を冷やしてしまいますし、政府の借金である国債の利払いも大きくなってしまいます。その為今後の利上げは慎重に進んでいくと考えられますが、インフレが急に加速する場合や、許容範囲を超えて円安が進んでしまいそうな場合は、利上げのペースが早まる可能性があります。
利上げはインフレ抑制効果があります。また円資産の金利が上がると言うことは、円建て投資の魅力が増すために円高要因となります
まとめ
日銀の政策金利が引き上げられるということは、日本経済がデフレからインフレ基調の経済成長に切り替わりつつあるシグナルと言えます。家計への影響はメリットデメリット両方ありますが、経済成長が軌道に乗るのであれば、株価の上昇、賃金上昇が見込めます。
資産を増やしたい人、資産を守りたい人、金利が変動するローンを借りている人は、今までの行動のままで良いのか点検する必要があります。資産の置き場所をしっかり意識して行くことで、家計に大きく差がつく時代が始まったと言えます。
FPフローリストでは、資産運用相談やライフプラン・シミュレーション・住宅購入・住み替え相談等、個人の家計を支える様々なFP相談をご提供しています。資産運用を始めたい・見直したい方や、金利上昇でも安心の住宅購入をしたい方、住宅ローンの完済作戦を立てたい方は、ご相談いただければ幸いです。
このコラムの著者
ゆりもと ひろみ
日本を元気にします!
- CFP®認定者
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 宅地建物取引士
- 一種外務員
プロフィール
大阪府出身。1995年神戸大学理学部地球科学科卒業(現地球惑星科学科)
出産を機にマネープランの必要性を痛感し、FP(ファイナンシャル・プランナー)となる。一男一女の子育てをしながら、 開業以来1,200件以上のFP相談を受ける。資産運用・家計管理・住宅購入・保険見直しなど幅広いマネー相談に精通し、働くママとして奮闘する経験を生かした、親身なアドバイスが好評。 2013年「株式会社FPフローリスト」を設立し、社長向けFPコンサルや従業員向けFP相談サービスを開始。日々良質のFPサービスの普及に尽力している。
執筆取材
日経新聞/東京新聞/テレビ東京(ワールドビジネスサテライト)/BS日テレ/フジテレビ(FNNスーパーニュース)/文藝春秋社(文藝春秋)/プレジデント社/宝島社(リンネル)/日本FP協会/日本金融通信社/楽天証券(トウシル)/リクルート(SUUMO)/大創出版(家計ノート)/学研/全国共済/一般財団法人教職員生涯福祉財団/他多数
講師講演
NEC労働組合/日本フイルター/首都高速道路株式会社/日研フード/厚木市教育委員会/高相建設業組合他
著書
「FP相談を仕事にしたい!ファイナンシャル・プランナーになりたい女性のための完全ガイド」/ 中小企業デザイン総合支援センター
その他
- 株式会社FPフローリスト 代表取締役社長
- ゆりもとFP事務所 代表
- 教育費や家計、資産運用などの疑問はFPに相談して解決しよう!