2022年4月から株式市場はどう変わる?
今回は、株式市場はなぜ再編されるのか?その理由を解説します。
◆これまでの東京証券取引所
◆再編で各市場のコンセプトが明確になる
◆上場企業の質の低下を防げる
◆投資家にとってのメリット
◆これまでの東京証券取引所
東京証券取引所は、今までは4つの区分から構成されていました。
市場第一部、市場第二部、マザーズ、ジャスダックの4つでしたが、2022年4月からは、プライム、スタンダード、グロースという
3市場になりました。市場の再編成を実施する理由は以下の2点です。
◆再編で各市場のコンセプトが明確になる
1つ目は、各市場のコンセプトや位置づけが不明瞭かつ曖昧で、投資家にとって企業価値が見極めにくいことです。
例えば、いきなり一部に上場する時の基準と、マザーズに上場した後に市場区分を一部にする時では、基準が大きく異なります。
いきなり一部に上場するためには、時価総額が250億円以上でないと要件を満たせません。
ところが、一旦マザーズに上場した後、そこから一部を目指す場合は40億円でよい、となっており、大きな違いがありました。
そのため、同じ一部上場であっても異なる基準を満たす企業が混在しており、同じ市場に比較すると企業価値が高くない企業も混じっています。「一部上場なら、こういう基準をクリアしているはず」という明確な基準がないため、市場区分が形骸化してしまっている、という問題がありました。
◆上場企業の質の低下を防げる
2つ目は、上場廃止基準が緩いため、廃止のプレッシャーにさらされず、企業価値向上の動機付けが不十分になりがち、という問題がありました。
一部上場は、時価総額250億円以上でないとできませんが、一方、10億円未満にならないと廃止されません。経営努力をして企業価値を高め続けなくても、時価総額10億円を切らない限りは、そのまま上場を続けることができてしまいます。そのため、一部上場企業の質の低下というのが問題となっていました。
また、インデックス運用により、企業価値とは関係なく資金が流入する弊害も起こっています。TOPIX(トピックス)という指標は、東証一部上場の全企業が対象になっています。インデックス運用と言って、「日本全体を買いましょう」という投資信託がたくさんありますが、このTOPIXに連動しているものがとても多いのです。
個別の銘柄を抽出、ピックアップするのではなく、日本全体の平均に投資をするには便利なのですが、問題は、先ほどお話したような業績の良くない銘柄も、一部に上場していれば自動的に投資対象になってしまいます。
個別にみると投資対象として選択されないような銘柄でも、TOPIX投資をする人が増えると、パッケージで多額のお金が流れ込み、株価が不適切に上昇してしまう、という弊害があります。
このような問題を解消するために、株式市場が再編成されました。
◆投資家にとってのメリット
再編成に伴い、上場の基準と上場廃止の基準は一緒になりますので、投資家から見て、市場ごとの上場企業の条件が把握しやすくなります。
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(2022.2.1時点の情報をもとに作成)
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