資産運用用語集
か行
- 外貨準備高
対外債務の返済などに充てるため、中央銀行や政府が保有する流動性の高い外貨建て資産の残高のことをいう。急激な為替相場の変動を防止する際に行われる為替介入の資金に用いられることが多い。金、主要国の外貨(当該国の国債を含む)、SDR(特別引出権)、IMFリザーブポジション(IMF加盟国がその出資金に応じて、IMFからほぼ無条件で借りることのできる相当額)などからなる。
日本では、財務省と日本銀行が持つ外貨の総額を指し、毎月財務省が公表している。日本の外貨準備高は世界一の水準にあり、多くは米国債で占められている。
- 買取請求
証券会社や銀行等金融機関の販売会社に対して、投資家が保有する投資信託(受益権)の買取を請求するもので、投資家は販売会社に受益権を売却したことになる。
販売会社が直接買い取るため、販売会社が買い取った受益証券(投資信託)を委託会社に対して解約請求するまでは、受益証券の信託財産は減少しない。
- 解約請求
ファンドを途中換金する方法の一つで、購入した販売会社を通して委託会社(ファンドを実質的に運用する会社)に対し、信託財産の解約実行を請求する方法。他の換金方法としては、買取請求がある。
2009年の税制改正後から、個人投資家の株式投資信託の換金(解約請求・買取請求)に関する課税上の取扱いが一本化され、解約、買取ともにすべて「上場株式等の譲渡所得等」となり、他の株式や株式投資信託の譲渡所得、配当金などと損益通算できるようになった。
- 会社型投資信託
証券投資を目的とする投資会社(証券投資法人)を設立して、投資家(投資主)がその投資会社の発行証券(投資証券等)を取得する形態のものをいう。
- 価格変動リスク
市場で取引価格(時価)が変動することにより、投資した金融商品の価格が変動するリスクのこと。または投資した金融商品の価格が変動することにより、当初期待していた収益(リターン)が得られなくなる可能性(リスク)のことをいう。
- 仮想通貨
仮想通貨とは、中央銀行などの公的な発行主体や管理者が存在せず専門の取引所を介して円やドルなどと交換できる通貨のこと。インターネットを通じ、不特定多数の間で物品やサービスの対価として使用できる。ブロックチェーンと呼ばれる分散型台帳技術によって取引履歴が管理されていることが多い。日本では2016年に成立した新資金決済法の下で、仮想通貨は、物品の購入等の代価の弁済に使用することができ、また、それ自体を購入及び売却することができる財産的価値であると定義されている。
仮想通貨の種類は1,000以上あるとも言われており、仮想通貨全体の時価総額は20兆円を越えている。その中で、最も時価総額が高いのは、ビットコインである。ビットコインが始めて取引されたのは2010年5月。米国のパパ・ジョンズ・ピザで1万ビットコイン(BTC)とピザ2枚が交換され、交換レートは約1BTC=0.225円と言われている。7年後のレートはこの初値の200万倍を超えており、時価総額は10兆円を超えている。
- 確定拠出年金
私的年金の一つで、現役時代に掛金を確定して納め(拠出という)、その資金を運用し損益が反映されたものが老後の受給額として支払われる年金。
- 株式
会社が事業を営むために必要な元手資金を提供(出資)してくれた人たちに発行する証書。株式をもつ人を「株主(かぶぬし)」といい、「会社が活動して得た利益を配当として受け取る」ことや、「会社の経営に一部参加する(株主総会に出席して意見するなど)」ことができる。
- 株式の電子化
2009年1月5日から上場会社の株券電子化がスタートした。これにより、これまでの紙に印刷された株券は無効となり、以後株式は株券のやり取りはなくなり、保管振替制度のもとで株式の権利の帰属が振替口座簿の記録によって決まるようになった。
投資家にとっては株券の紛失・盗難といった危険がなくなり、上場会社にとっては、株券発行に伴うコストや事務作業が削減できる。
- 株式型投資信託
株式に投資できる投資信託のカテゴリーのこと。株式だけでなく、債券や派生商品、不動産なども運用の対象となるため、実際の投資対象は目論見書、運用月次レポート等で確認する必要がある。
- 株主優待
会社が株主への感謝を表すため、商品や金券、自社サービスなどを株主に対しプレゼントしてくれるもの。割当基準日という日に株主であれば株主優待が受けられる。
- 為替
為替とは、為替手形や小切手、郵便為替、銀行振込など、現金以外の方法によって金銭を決済することをいう。また、国内で行われる為替取引のことを内国為替といい、異なる通貨間で行われる為替取引のことを外国為替という。外国為替では、まず決済通貨(どの通貨で金銭の受払いをするか)を決め、自国通貨でない場合には、通貨を交換しなければならない。この通貨を交換するための市場のことを外国為替市場、通貨の交換比率のことを為替レートという。
- 為替リスク
為替レートの変動に伴う投資元本棄損の可能性のこと。
- カントリーリスク
国や地域において、政治・経済の状況の変化によって証券市場や為替市場に混乱が生じた場合、そこに投資した資産の価値が変動する可能性のことをいう。
特に国債などの場合、発行元の国が対外債務不履行を宣言して国家経済が破綻する場合も決して珍しいことではなく、その場合、国債価格は大きく毀損する可能性がある。一般的にカントリーリスクが高いほど、国債の金利は高くなる。
- 基準価格
投資信託1単位あたりの時価。この価格で購入または売却される。
- 記念配当
ある決算期に、通常行われる配当のほかに、会社の創業後○周年や上場などを記念して行われる配当のこと。通常の配当に上乗せされることが多い。配当を今後も引き上げるのではなく、あくまでも一時的なものであることを明示する効果がある。
- 期中分配金
投資信託の分配可能原資(投資信託が保有している資産から受け取る配当や利子などと、投資している資産の値上がり益などに、前期から繰り越されてきた分配金のストック(繰越分配可能原資)を加えた金額の合計のこと)の中から、ファンドの決算日に投資家に収益分配が行われる金額のこと。分配金の金額は、投資信託ごとに決められた分配方針に基づいて運用会社が決定する。
- 期待収益率
特定の資産について将来にわたる運用により獲得が期待できる平均的な収益率のこと。期待リターンとも呼ばれる。投資対象商品によって期待収益率は異なる。例えば、銀行の定期預金や国債の場合、リスクがやや低いため期待収益率も低い。一方で株式投資のようなリスクの高い投資商品の場合、リスク(不確実性)に対して、超過収益(リスク・プレミアム)が求められることから、期待収益率は高くなる。
- キャピタルゲイン
投資商品の購入価格と売却価格の差額で出る利益のこと。株式・投資信託・不動産の値上がり益など。利益に対してどの程度税金がかかるかは投資商品の種類と投資期間によって細かく決められている。
- キャピタルロス
株式や債券などの資産を購入した価格よりも低い価格で売却した場合、差額が損失となり、その差損をキャピタルロスという。
資産価格が最初に購入したときの価格を下回る方向に動けばその差額が含み損失となるが、その資産を売却することによって、損失(キャピタルロス)が確定する。
- 金利
お金を貸し借りするときの手数料。貸し借りするもの自体がお金であるため、「元金の○%」という表し方をする。 →利率もほぼ同じ意味。
- クローズド・エンド型投資信託
組み入れ資産の時価に基づく純資産価格での買い戻しや解約を原則として認めていない投資信託のこと。お金の出入りが少なく安定しているので、多少流動性に欠ける資産なども運用対象に入れやすいというメリットがある。
- グロース運用
企業の成長性が市場平均よりも高いと期待される銘柄に投資する手法。PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などから見て株価が多少高くても、今後の成長性を評価して投資するというスタンス。
- クーポンレート
「表面利率」とも呼ばれ、債券の額面に対して、毎年受け取れる利息の割合のことをいう。「固定のもの」と「変動のもの」とがあり、固定利付債の場合、額面金額に対する1年分の利息がパーセントで示される。
新発債のクーポンレートは、格付けや発行年限、金利情勢などを反映して決められる。具体的には、各年限の市場(国債)の流通利回りをもとに、発行体の格付けなどを反映したリスク・プレミアムなどが上乗せされる。そのため、債券投資にあたっては、発行体の信用リスクを認識することが必要になる。
債券を購入する場合には、必ずしも額面で購入するとは限らないため、例えば、クーポンレートが4%の債券を102円で購入した場合、実質上の金利は4÷102=3.92%となる。このように、取得した債券価額に対する金利の利率のことを「利回り」と呼び、クーポンレートとは区別する。
- 契約型投資信託
運用会社と信託銀行が信託契約を結ぶことにより組成、運用される投資信託のこと。
- 購入手数料
投資信託を購入する際に支払う手数料。販売手数料とも言う。
- 交付目論見書
有価証券の発行者が、有価証券の募集や売出しの際に、投資家に交付するために作成する情報開示文書をいう。発行者や有価証券の内容などに関する説明が記載されている。金融商品取引業者が、募集や売出しによって有価証券を販売する際には、投資家に目論見書を交付しなければならないことが法令で定められている。
- 公募投資信託
不特定かつ多数(50人以上)の投資家を対象とし、広く一般に募集する投資信託のことを指す。銀行や証券会社などの金融機関で販売され、投資家は少額から出資することができる。
1998年の証券投資信託法(現在の投資信託及び投資法人に関する法律)の改正により、私募投資信託制度が導入されたことにより、投資信託は募集の方法によって公募投資信託と私募投資信託に分類されることになった。
- 公社債投資信託
投資対象に株式を一切組み入れず、安全性の高い公社債(国債、地方債、社債等)で運用することを約款上で規定した証券投資信託のことをいう。中期国債ファンドやMMF(マネー・マネージメント・ファンド)、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)などの商品がこれにあたる。
- コーポレートガバナンス・コード(Corporate Governance Code)
2014年に日本政府が成長戦略として掲げた3つのアクションプランの一つ「日本産業再興プラン」の具体的施策である「コーポレートガバナンス(企業統治)」の強化に基づき、上場企業がコーポレートガバナンスを実行する上での規範を定めたもの。
2015年3月5日に金融庁は、コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議による「コーポレートガバナンス・コード原案」を公表。これを受けて、東京証券取引所は上場制度を改正し、「コーポレートガバナンス・コード及び改正後の有価証券上場規程等」を2015年6月1日から上場企業に対して適用した。
本コードは、5つの基本原則で構成され、(1)株主の権利・平等性の確保、(2)株主以外のステークホルダーとの適切な協働、(3)適切な情報開示と透明性の確保、(4)取締役会等の責務、(5)株主の対話、に関する指針が示されている。
本コードは、法的拘束力は無いが、コンプライ・オア・エクスプレイン(Comply or Explain)の精神の下、原則を実施するか、さもなければ実施しない理由を説明するかを求めている。
本改正により、従来からあるコーポレートガバナンス報告書の開示項目に加え、政策保有株(持ち合い株)に関する方針や取締役会に関する開示情報などの項目が追加された。また、会社の持続的成長・中長期的企業価値向上に寄与する独立社外取締役を2名以上選任することなどが上場制度に盛り込まれた。
- 国民年金基金連合会
1991年に国民年金法に基づき、厚生省(現厚生労働省)の認可により設立した。各種国民年金基金の連合組織として各基金の共同運用事業、共同事務処理事業などを行っている。
2002年より確定拠出年金法に基づいて、確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)の実施主体となり、個人年金規約の作成、加入者資格の確認、掛金収納等の業務を行っている。
- 個人向け国債
個人投資家を対象に販売される国債。1万円という小額から始められる。“固定金利5年満期型”と“変動金利10年満期型”の2種類があり、証券会社や銀行を通して購入できる。
通常の国債は債券市場で日々売買されており、株式のように値下がりして元本割れする可能性もあるが、個人向け国債は、国が額面金額で買い取りを保証しているため、元本割れすることがないが、一定期間中途解約が出来ないなどの制約がある。
- コスト・プッシュ・インフレ
原材料費や賃金などの生産コストの急激な上昇が原因となって引き起こされるインフレのこと。供給サイドである企業側が生産コストの高騰による利益減少を防ぐため、供給価格を引き上げることが原因。海外からの輸入原材料の価格上昇によって生じるインフレを「輸入インフレ」と呼んで区別する場合もある。
それに対して、好景気により商品がよく売れることで需要が供給を超え、商品の値段が上がる需要サイド要因のインフレをディマンド・プル・インフレと呼ぶ。
- 固定金利と変動金利
決められた預け入れ期間(ローンなら返済期間)中において、当初約束された金利が変わらないのが固定金利。変動金利は、市場や金融機関の都合で、定期的に、又は随時、金利が見直されるもの。
- 固定金利
固定金利とは、購入時の金利が満期まで変わらないものをいい、代表的なものとして公社債(変動利付債を除く)等がある。
現在金利がピークと判断されるときには、今後金利が下がることが予想されるため、固定金利で、かつ長期の商品が有利となる。
- コモディティ
商品先物取引所などで取引される「商品」のこと。原油、貴金属、農産物など。
- 個別元本方式
投資家が投資信託を購入した時の基準価額を個別元本といい、個別元本に基づいて課税される計算方式を個別元本方式という。追加型の投資信託では、投資家の購入日によってこの個別元本は異なる。換金時に適用される基準価額と「個別元本」の差額部分が収益とみなされ課税される。また、分配時に分配落ち後の基準価額が、個別元本を上回っている場合は、分配金の全額が収益の分配金(普通分配金)として課税され、個別元本を下回っている場合は、下回った部分が元本の払い戻し(特別分配金)として非課税となり、残りの額が普通分配金として課税される。