資産運用用語集
ま行
- マイナス金利
民間の金融機関が中央銀行に預けている預金金利をマイナスにすることをいう。日銀のマイナス金利政策は、2016年1月に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」として導入された。これは、マイナス金利政策によって、金融機関が日銀に資金を預けたままにしておくと金利を支払わなければならなくすることで、金融機関が企業への貸し出しや投資に資金を回すように促し、経済活性化とデフレ脱却を目指したものである。
ヨーロッパでは、欧州中央銀行(ECB)やスイス、スウェーデン、デンマークの中央銀行などでマイナス金利政策の導入実績がある。いずれも日本と同様に民間の銀行と中央銀行との間で適用されている。
- 毎月分配型ファンド
ファンドの資産残高から毎月分を払い出す投資信託。分配金は受取型と再投資型を選択できる。分配金が多いことと、ファンドの運用成績が優れていることとは必ずしも一致しない。
- マザーズ
東京証券取引所が開設した新興企業を対象とした証券市場のことで、正式には東証マザーズという。MothersはMarket Of The High-growth and EmeRging Stocksの頭文字。1999年11月に開設されて、上場会社数は200社を超える。
マザーズに上場するための審査は、主に事業計画などをもとに判断され、成長の可能性に主眼が置かれている。東証1部や2部の審査基準が、会社の継続性・収益性に主眼が置かれているのとは対照的である。
日本国内にはベンチャー企業を対象にした証券市場として、マザーズ以外に、JASDAQ(東証)、セントレックス(名証)、Q-Board(福証)、アンビシャス(札証)がある。
- マザーファンド
ファミリーファンド方式と呼ばれる運用方式のもとで、複数のベビーファンドと呼ばれる投資信託から資金を預かり、それをまとめて運用する投資信託のこと。親ファンドとも呼ばれる。ベビーファンドの資金をまとめて運用することで、ベビーファンドが個別に運用する場合よりも運用規模を大きくすることができ、また効率的な運用することができる。
このようにマザーファンドとベビーファンドを分けて運用する方式のことをファミリーファンド方式という。
ファミリーファンド方式で運用される投資信託の場合、投資家が商品として認識して投資する投資信託はベビーファンドとなる。そのため、直接マザーファンドに触れる機会はないが、目論見書などには必ずマザーファンドに関する情報が記載されており、どのマザーファンドを使っているかを確認することができる。
- マネーサプライ
中央銀行や金融機関から経済全体に対して供給される通貨の総量のことをいう。通貨は経済活動を行う上で必要不可欠なものであること、通貨とモノやサービスとの関係を表すものが物価であることなどから、マネーサプライと実体経済、物価との間には密接な関係があるとされる。このため、中央銀行が金融政策を行う際は、マネーサプライを1つの判断材料とすることが多い。
日本では、マネーサプライ統計はマネーストック統計という名称で日本銀行が月に1回発表している。マネーストック統計では、居住者のうち、金融機関等を除く一般法人、個人、地方公共団体などが保有する通貨量の残高を集計している。代表的な指標であるM2は、国内銀行等が発行する、現金通貨、預金通貨、準通貨(定期預金、据置貯金、定期積金、外貨預金)、CD(譲渡性預金)の合計で求められる。
マネーサプライ(マネーストック)は、中央銀行によって供給されたマネタリーベースが金融機関の信用創造機能を通じて拡張し、経済全体にどの程度の規模で流通しているのかを示す指標である。マネーサプライとマネタリーベースの比率を貨幣乗数(信用乗数)と呼び、マネーサプライがマネタリーベースの何倍に膨らんだのかを表す。すなわち、マネタリーベース × 貨幣乗数 = マネーサプライ となる。貨幣乗数の低下は、資金需要の減少や金融機関による貸出の抑制など、通貨の循環度合いが鈍っている様子を示す。
- マネタリーベース
中央銀行が供給する通貨量のこと。具体的には、マネタリーベース=「日本銀行券(紙幣)発行高」+「貨幣(硬貨)流通高」+「日銀当座預金(金融機関が日銀に保有している当座預金のことであり、主に金融機関同士の決済などに使われる)」で計算される。日銀は不景気のときは金融機関が持つ国債を買い上げ、マネタリーベースを増やして量的緩和を行う。日銀の当座預金が積み上がれば、金融機関が企業への貸し出しや、収益率の高い株式やREITなどに資金を回すようになり、経済が活性化するという考え方がある。一方、景気に過熱感があるときは、日銀が持つ国債を金融機関に売り払って資金を吸い上げる。マネタリーベースを減らすことで過度のインフレやバブルの発生を防ぎ、安定的な経済成長に誘導しようとする。