お金の心配なく学べる高校生のための就学支援
そこで今回は、高校生が利用できる就学支援についてご紹介します。
誰もが行きたい学校で学ぶための制度
文部科学省は、平成26年4月以降に高校へ入学する生徒に対し、「高等学校等就学支援金制度」を実施しています。これは、高校での授業料負担を軽くすることで、誰もが平等に高校での教育を受けられるようにするためにできた制度です。めやすとして世帯年収が約910万円未満の家庭は、授業料の一部(場合によっては全部)が助成されます。利用できる高校は国公立、私立を問いません。学校で配られる所定の申請書を提出すれば、就学支援金が学校に支払われます。よって、家庭では支援される金額分の授業料を負担する必要はありません。家庭からの持ち出し分が減るのはうれしいですね。
支給される就学支援金の額は、以下の表を参照してください。
◇高等学校等就学支援金制度の支給額
高等学校等就学支援金
【国公立】
区分 | 金額 | |
月額 | 年額 | |
全日制課程 | 9,900円 | 118,800円 |
定時制課程 (単位制課程を除く) |
2,700円 | 32,400円 |
定時制課程 (単位制課程) |
1,740円 (履修単位1単位につき) |
52,200円 (30単位履修の場合) |
通信制課程 | 330円 (履修単位1単位につき) |
10,080円 (30単位履修の場合) |
※保護者の市町村民税所得割額が304,200円以上(世帯年収の目安が910万円以上)である場合は、支給対象外です。
【私立】
保護者の市町村民税所得割額 | 目安となる世帯年収 | 授業料補助額(年額) |
0円(非課税) | 250万円未満程度 | 297,000円 |
51,300円未満 | 250万円~350万円未満程度 | 237,600円 |
154,500円未満 | 350万円~590万円未満程度 | 178,200円 |
304,200円未満 | 590万円~910万円未満程度 | 118,800円 |
304,200円以上 | 910万円以上程度 | 対象外 |
授業料以外の費用負担が軽くなる制度
家庭では、高校の授業料以外にも負担しなければならない費用はたくさんあります。たとえば、高校では教科書代は家庭で負担しなければなりません。そのほかにも、教材費、制服代、通学用品代、PTA会費、生徒会費、学用品代、修学旅行などの校外活動費など、さまざまなものにお金を負担する必要があります。
そこで、高校の授業料以外の経済的負担を軽くするために、高校生のいる低所得世帯を対象に「高校生等奨学給付金」を支給する制度があります。対象となるのは、市町村民税所得割額が非課税の世帯と生活保護受給世帯です。この制度は、保護者がお住まいの都道府県にて手続きをすることで利用できます。
給付金の支給額は下記を参照してください。
◇高校生等奨学給付金の支給額
高校生等奨学給付金
世帯状況 | 給付額(年額) | |
国公立 | 私立 | |
生活保護受給世帯 【全日制・通信制】 | 32,300円 | 52,600円 |
非課税世帯 【全日制等】(第1子) | 75,800円 | 84,000円 |
非課税世帯 【全日制等】(第2子以降) ※15歳以上23歳未満の兄弟姉妹がいる場合 |
129,700円 | 138,000円 |
非課税世帯 【通信制】 | 36,500円 | 38,100円 |
授業料などの支援制度について、詳しくは文部科学省のホームぺージで確認してください。
このほか、自治体では私立高等学校に通う生徒が利用できる支援制度を実施していますので、検索してみるとよいでしょう。
知っておきたい高校生が使える奨学金
家計の担い手となる保護者の事情によって、学費が負担できない場合もあるでしょう。ここでは、保護者が亡くなったり、障害を負ったりしたことが理由で、学費などを負担できなくなった家庭のための奨学金制度をご紹介します。
◇あしなが奨学金
これは、あしなが育成会が実施する奨学金制度です。病気や災害、自死など交通事故以外で保護者が亡くなったり、著しい障害を負ったりしたことで、学費などの負担がきびしい家庭の子どもが利用できます。
奨学金のうち、高校生が利用できるものを以下にピックアップしてみました。
○高等学校・高等専門学校奨学金:貸付月額 国公立25,000円・私立30,000円
○私立高等学校への入学一時金制度:30万円
奨学金は無利子です。返済は、卒業後20年間で分割返還します。
詳しくは、あしなが育成会のホームページで確認してください。
◇公益財団法人 交通遺児育英会の高校・高専奨学金
これは、交通事故が原因で保護者が亡くなったり重度の障害を負ったりしたことで、経済的に苦しくなった家庭の子どもが利用できます。
この奨学金の利用には、所得の基準額があります。
○高校生が対象のもの
保護者の給与所得の場合は、780万円以内
給与所得以外の場合は、360万円以内
○奨学金の月額(高校生の場合)
2万円、3万円または4万円から選択
○入学一時金(高校入学の場合)
20万円、40万円または60万円から選択
いずれも無利子で、借りることができます。
詳しくは、交通遺児育英会のホームページで確認してください。
高校生が利用できる奨学金は、例えば「東京都育英資金」など、ほかにもありますので、「お住まいの自治体 奨学金」などで検索してみるとよいでしょう。
いかがでしたか? 高校生が安心して学ぶための公的な就学支援があること、保護者が亡くなったり、障害を負ったりした場合に無利子で借りられる奨学金があることは、ぜひ覚えておくといいでしょう。自分は利用する機会がないとしても、もしかしたら身近な人で教育費の負担がむずかしくなる人が出てくるかもしれません。そんなときは、ぜひ就学支援や奨学金のことを教えてあげてくださいね。
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